11月5日午後2時、衆議院の財務金融委員会が始まる30分前、私は、次期米国大統領に当選確実となったオバマ上院議員の勝利宣言演説をテレビで見ていた。大変感動したことは、オバマ氏が、政策には一切触れずに、政治理念について熱く語っていたことだ。よく、オバマ氏のフレーズで”Change(変革)”と”Yes, We can”が報道されるが、変革の意味や、我々(アメリカ国民)は何が出来るのか理解していなかった。オバマ氏の演説を聞いていて、変革とは、弱肉強食の所謂、アメリカンスタンダードと言われていた理念からの変革であり、強者が弱者を従え、利益を得ることを良しとした風潮から、アメリカ国民の間に生まれた亀裂を克服することを我々(アメリカ国民)は出来るという意味であることを理解した。2001年の米国多発テロ以降のアフガン侵攻や、イラク戦争は、ネオコンと呼ばれるホワイトハウスのスタッフにより、力による解決が推し進められたが、未だ解決からは程遠い状況であり、その一方で、純粋な若いアメリカ兵士が数多く、アフガン、イラクの地で命を落としている。その現実が、アメリカ国民の間に溝を作ってしまった。更に、ウォール街の金融マンは、巨額の報酬を得て、羨望の眼差しで見られていたが、金融危機により一転して悪役となった。力さえあれば良い、稼ぐものが正しい、そういった理念に終止符が打たれ、本来のアメリカ国民の団結を求める理念が、変革により必要であることをオバマ氏は訴えてきたからこそ、圧倒的な勝利を得たということをしみじみ感じた。オバマ氏は演説の中で、「共和党、民主党、白人、黒人、ヒスパニック、アジア人、同性愛者、関係なく我々はひとつになれる」「二つの戦争と金融危機を我々は力を合わせて乗り越えることが出来る」と語った。正に、人間が生きるうえの理念の変革がアメリカで起こったと私は強く感じた。
政治家は、まず、人間が生きるうえで必要な理念を語れなければならない、細かな政策論も必要であるが、一番大事なのは、理念だと思う。翻って、日本の政治、自民党、民主党が足の引っ張り合いをして政権を争っている現状に、何か理念があるのか、一抹の不安を感じる。NHKの直近の世論調査で、衆議院選挙後の政権のあり方で、自民、民主の連立政権を望む声の割合が増えたのも、アメリカ大統領選挙の影響があるのかもしれない。経済学的に考えても、共存共栄といった考え方に変わる必要性がある。オバマ氏の政策では、中低所得者層への減税と高所得者層への増税が掲げられているが、今まで、高所得者層が稼いできた富を、中低所得者層へ分配する政策は、100年単位の歴史を考えれば、富の再分配として必然的なことかもしれない。確かに、努力した人がより多く負担を強いられれば、活力が無くなるとの考え方もあるが、勝者のみが潤う社会が続けば、やがて人間社会はぎすぎすしたものになってしまう。歴史は繰り返されるものかもしれないが、オバマ氏の当選は、正に時代に適した勝利であったのだろう。これからの日本の社会がどうあるべきか、次期衆議院選挙に向けて、政治家として熱く私も語らなければならない。
最近のコメント